ここぴたる!

医療・介護職の「ありがとう」エピソード集

『あんだは○○みてえだな。』言語聴覚士の私が頂いた最高のほめことば

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・リハビリが大っ嫌いな患者さん

 

「私が思わず涙した一言。『あんだは○○みてえだな。』私が頂いた最高のほめことば」

 

私は言語聴覚士として働いています。

 

脳卒中後の失語症や嚥下障害の方のリハビリをメインに行っています。

 

術後すぐにリハビリを始めるため、嫌がってしまう患者さんも多いですが、リハビリを楽しみにしてくれている患者さんも大勢います。

 

今回は、私が出会った“リハビリが大っ嫌いな患者さん”から受けた感謝のことばについてお話ししたいと思います。

 

・患者さんは嚥下障害の方でした。

 

個人情報になるので、患者さんについては詳しく言えませんが、嚥下障害の方でした。

 

発病前はお酒が大好きだったようで、いつも「酒飲みてえ~酒飲みて~」とおっしゃっていて、私に会うたび「○○さん、酒はだめなのかい?」と必ず聞いてきました。

 

さすがにお酒はだめなので、そのことを伝えると「俺は千○(お酒の名前)が好きなんだ。退院したら千○かっくらってやる」と意気込んでいました。

 

でもその患者さんはリハビリが大っ嫌いで、私にお酒の話はするものの、リハビリは断固拒否でした。

 

ベッドの角度を変えようとするならば、「触らんでいい!!」と怒り、食事を見せようものなら「そんな腐ったもんいらん!」とまた怒ります。

 

腐ってはいないのですが、どろどろにとろみがついたペースト状の嚥下食は受けつけないようでした。

 

でも、その患者さんはペースト状でないとむせてしまうのです。

 

経管で栄養は摂っているものの、本人や家族のニーズは通常の食事を食べれるようになりたい(なってほしい)、お酒を飲めるようになりたい…でした。

 

でも、訓練をしなければ食形態はあげられません。

 

まず患者さんとの信頼関係を作るべく、なるべくその患者さんの部屋へ行き、親睦を深めました。

 

毎日部屋に行っていると、ある日突然お酒の話以外にも、将棋が好きだということを教えてくれました。

 

それから時間の許す限り患者さんと将棋をさしました(もちろんその患者さんだけ特別扱いはしていません)。

 

はじめは説明書片手に将棋をさす私にひたすら文句をいっていましたが、次第に手を教えてくれたり、「おーなるほど」と独り言をいったりと、よく笑顔を見せてくれるようになりました。

 

相変わらず食事の際には文句を言われましたが、ゼリーやお茶ゼリーから少しずつ食べてくれるようになりました。

 

将棋で信頼関係が深まるとともに、接触訓練も次第に進んでいき、とうとう退院の日が訪れました。

 

目標はクリアすることができませんでしたが、回復期の病院に移ることになったため、申し送り状には精一杯その患者さんとのことを書かせていただきました。

 

退院の際に、早くお酒飲めるようになるといいですね。お元気でとお別れをしていると、突然患者さんが言いました。

 

「腐った飯には参ったが、病院もまあまあだったな~」

「あんだは千○みでえだったな!!」

 

まず、ご飯は腐ってません!!ということをお伝えし、千○とはどういうことか尋ねると、俺の一番お気に入りだってことだ!と遠まわしに教えてくださいました。

 

腐った飯を食わせる私(何度も言いますが腐ってません。ペーストです)を、一番好きなお酒にたとえてくれて、お見送りした後に涙がほろりと出てしまいました。

 

ああ、この仕事をやっていてよかったなと思った瞬間でした。

 

 

・この体験談をお寄せいただいた方

性別:女性

年齢20代

お住まい:福島県

職種:言語聴覚士

勤務施設:総合病院

 

心通う、素敵な体験談をお寄せいただき、ありがとうございました!