私は、療養型の医療施設で医療事務をしていました。
比較的お年寄りの患者さんが多く、入院患者さんだけで300人、隣接する老人保健施設に100人、隣接する有料老人ホームに100人、隣接する軽費有料老人ホームに50人の患者さんがいらっしゃいました。
毎日、外来に来る患者さんは、隣接の施設から来る患者さんが多いため、受付や外来診療室に行くまでの介助などを行っていると、自然とよく話すようになりました。
私が入社して数カ月経ったある日、顔見知りの患者さんが、
「今日は元気ないけど大丈夫?顔色悪いよ。」
と声をかけてくださり、ちょうど体調が悪かったにも関わらず、誰にも言い出せない状態だったので、周囲のスタッフも気づいてくれて適切な処置を受けることができました。
病院に就職するまでは、どちらかというと、お年寄りが苦手で、上手く対応できるかどうか不安が大きかったのですが、
仕事をしていくうちに仲良くなったり、気軽に話しかけることができるくらいの関係になって、お年寄りに対する苦手意識はなくなりました。
私の体調の異変に気づいてくれた患者さんは、必ず朝一番に外来にいらっしゃり、顔を見ると笑顔で挨拶してくれて、精神的に本当に救われたと心から思っています。
また、私が研修で1週間お休みを頂いていた時には、他のスタッフに私が仕事を辞めてしまったのではないかと心配してくださっていたそうで、受付の医療事務のことまで気遣ってくれる優しい心を持った患者さんと出会えてよかったなと感じています。
仕事に慣れてきたり、仕事が忙しかったりすると、本当に心に余裕がなくなってしまうのですが、そのような時もその患者さんに会って日常のたわいもない話をするだけで、嫌なことを忘れることができました。
しかし、突然、その患者さんは、ご家族の都合で県外の遠い施設に移ることになってしまい、最後に事務所に挨拶をしに来てくれました。
個人的に、その患者さんの今後を見守っていたかったので、とても残念でしたが、子供さんやお孫さんの自宅の近くにいることができるので、とても喜んでおられたのが印象的でした。
その後、その患者さんは、この病院を訪れることはありませんでしたが、カルテの整理をしている時などに、時々思い出したりしていました。
私も既にその病院を退職してしまっているのですが、その時の同僚と会うと、今でもその患者さんの話題になることがあり、ほっこりとした気持ちにさせてくれます。
どうか、今でもお元気であることをお祈りしています。
・このエピソードをお寄せいただいた方
性別:女性
年齢:30代
お住まい:広島県広島市
職種:医療事務
勤務していた施設、診療科:療養型医療施設・内科
施設の規模:約500人
体験談をお寄せいただき、ありがとうございました!