笑って言う事じゃないでしょ(笑)と返せた時が、私の中でそのお医者さんに一番感謝したタイミングの様な気がします。
・100針以上縫う治療がその医師との出会いのキッカケでした。
子供の頃の話にはなりますが、学校で怪我をし救急車で運ばれ全身100針以上を縫う治療を受けました。
出血も多く、とりあえずの止血のために数人の医師の方が治療に当たって下さいました。
学校から連絡を受けた母親も私の姿を泣き叫び、倒れてしまうような有様でした。
そんな中でも治療を行ってくれていたある一人の医師の方に対し今でも感謝の気持ちがいっぱいです。
左腕、左足を中心に各所から多量の出血をする中で意識は遠のいていた気がしますが、その医師の方は手を休める事なくずっと明るく声を掛け続けてくれました。
私と年齢の近いお子様がいらっしゃったらしく、当時よく見ていた漫画の話などを中心に、とにかく笑顔で、でも手を休める事はなく治療を進めて下さいました。
とりあえずの治療は終えましたが、そこから三か月の入院生活がはじまりました。
・そのお医者さんと会話がはずみ、何より安心感を持てました。
母親がずっと付き添い、父親も日々仕事終わりに毎日見舞いにきてくれましたが、不安と寂しさからは解放されずにいました。
ただ、回診でその先生が来て下さる時が会話もはずみ、何より安心感が持てた事もありとても心強かった事を覚えています
今思えばですが、治療をする能力は基より弱気になっている患者に対し率先してコミュニケーションを取って下さった事が、その当時の私に対する一番の薬だったような気がしています。
30年近く経過した今でも後遺症が残り、病院通いを続けていますが、怪我をした当初の一番不安であった時期に気持ちのケアをして頂けたからこそ、長年不自由な体と向き合えてる気がしています。
・笑って言う事じゃないでしょ(笑)
その医師の方は随分前に引退なされていますが、現役中に勤務先の病院が変わった際も私もそちらに通院させて頂き最後まで私の面倒を見てくれました。
年を追う毎に当時私が運ばれた際の話などを聞かせて頂き、今だから言える事、笑える事など沢山聞かせて貰いました。
一番印象に残っているのが「正直もうダメかと思った。麻酔が効くのを待つ余裕もなかったから痛かったろ(笑)」と言われた時です。
笑って言う事じゃないでしょ(笑)と返せた時が、私の中でその先生に一番感謝したタイミングの様な気がします。
この先生だったから過去を笑えるような付き合いもできたし、今もある後遺症とも前向きに付き合えていると思います。
先生、本当にありがとうございました!
この体験談をお寄せいただいた方
年齢:40代
性別:男性
お住まい:三重県津市
長年にわたる、医師と患者さんの関係。素晴らしいですね。
エピソードをお寄せいただき、ありがとうございました!