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医療・介護職の「ありがとう」エピソード集

【妊娠中の尿管結石】「尿管結石の妊婦さん」として私はちょっぴり有名人になりました。

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妊娠7ヶ月の頃、尿管結石になり入院しました。


胎児への影響を考えて強い薬が使えず、弱い薬で痛みを緩和することしかできませんでした。

 

時には薬が効かないこともあり、痛みに耐えることもありました。


健康そのものだった私は、入院経験は出産の時のみ。

 

今回が初めての「病気」での入院でした。

 

一人きりでの入院は心細いものでした。

 

特に不安になるのが夜。

 

外が暗いというだけでなんだか不安な気持ちになるのです。

 

静かな病室で暗い、寂しい、痛い、やり場のない思いで過ごしました。


そんな時に看護師さんが病室を覗いてくださいました。

 

ナースコールを押したわけではありません。

 

巡回時間ではない時間に、何度も声を掛けてくださいました。

 

「痛みはどう?」

「我慢せず呼んでね」

「氷枕持ってこようか?」

「今夜は何事も無かったらいいね」

たくさんの温かい言葉が何よりの薬でした。

 

気にかけてくださっている、

近くで見守ってくださっている、

そう思うと不安が半減しました。

 

こんな様子で長い長い夜は明けて、また新しい朝がやってくるのでした。

 

妊娠中なのでX線検査もできません。

 

結石が今どの辺りにあるのか、あと何回あの激痛に襲われるのか。

 

考えれば考えるほど悪い方向に考えてしまいました。


頭の中は

「妊婦にもできる治療はないのか」

「もう少し強い薬は使えないのか」

ということでいっぱい。

 

とにかく早く排石したい、辛い痛みとお別れしたいという気持ちでした。


ずっとベッドで寝たきりで、時間だけは有り余っている私。

 

素人なりに調べ、いくつか良さそうな治療法を見つけました。

 

早速担当医の先生に相談してみることにしたのです。

 

先生は産婦人科医。

 

尿管結石は専門外ですし、妊婦の尿管結石を担当するのは初めてとのこと。

 

泌尿器科の先生に意見を仰ぎ、ご自分でも治療法を調べてくださいました。

 

私が相談した件についても検討し、薬の種類を変えたり、新しい治療法を模索してくださったのです。

 

看護師さんの中にも、妊婦の尿管結石について個人的に調べてくださった方がおられました。

 

先生、看護師さん、たくさんの方々が私の病気を治そうと、一生懸命になってくださいました。

 

発症してから1週間が経ったある日、先生から

「なかなか排石されず強い痛みが続くようなら転院し、陣痛促進剤で赤ちゃんを早めに産んで、それから治療に専念しましょう」

と提案がありました。

 

私は自然分娩を希望していましたし、赤ちゃんのペースで産みたいと思っていたのでその旨を伝えました。

 

もしかしたら明日排石されるかもしれない…そんな淡い期待があったからです。

 

先生は

「では自然に排石されるのをしばらく待ってみましょうか」

と私の要望を受け入れてくださいました。

 

また、

「もう1週間入院しましょうか…」

とお話がありましたが、もう限界でした。

 

主人が1週間仕事を休み、長男の面倒を見ていましたが、さすがにこれ以上休んでもらうのは難しいからです。


入院していても様子は変わらない。

 

結石が今どこにあるのかも分からない。

 

妊娠している限り、入院していてもこれ以上の治療は不可能です。


私は思い切って退院したいと申し出て、家庭でできる投薬治療を希望しました。

 

事情を話すと先生は私の要望を通してくださり、退院することになったのです。


ただし約束事が2つ。
・薬が効かないような強い痛みが出たらすぐに病院に行くこと
・場合によっては再び入院すること

 

幸い退院してからは強い痛みはなく、しばらく痛まない日が続きました。


発症から2週間が経過し、有難いことに結石は尿と共に自然排石されました。

 

先生に電話で伝えると心底喜んでくださり、会う人会う人「良かったね!」と声を掛けていただきました。


この病院では妊婦の尿管結石は初のケースということもあり、「尿管結石の妊婦さん」として私はちょっぴり有名人になりました。

 

それから2ヶ月後、予定日ぴったりに元気な赤ちゃんが産まれました。


病院に到着してから13分で誕生というスピード安産。

 

尿管結石が生まれるまでの方が難産でした。


尿管結石の時にお世話になった医師の先生や、助産師さん、看護師さんと

「この子があの時お腹にいた赤ちゃんね…」

と話したのは言うまでもありません。

 

当時は痛くて辛かったですが、今となってはいい思い出です。

 

自分が「患者」という立場になって気付かされたことがあります。


前にも書きましたが、私は妊娠・出産以外で通院・入院をしたことがありません。


エコー越しに愛しい我が子に会える「楽しみ」な検診に行く私とは違い、病院に来ているほとんどの方は不安・怖い・暗い気持ちを抱いているのだと気付きました。


入院している方もそうです。

 

痛み、思うようにならない病状や治らないもどかしさを抱えて、日々過ごしているのだと分かりました。

 

退院できる日を心待ちにして窓の外を見つめながら…。

 

もう一つの気付きは医療従事者のハードな業務内容です。


日勤・夜勤があるのは知っていましたが、シフトによっては昼間勤務し、また夜中に出勤など体力的にもきつい勤務形態だということを知りました。

 

中には小さなお子さんがおられる方もいて、お子さんのご飯・お風呂・寝かしつけを済ませてから深夜に出勤していると聞きました。


「仕事だから」で済ませれば簡単な話です。

 

ですが、残業や休日出勤もあるでしょうし、急患や人手不足で突然呼び出されることもあるでしょう。

 

業務内容以上の負担が大きくのしかかっているのだと、患者の私から見てもよく分かりました。

 

入院したからこそ医療従事者のみなさんの一日の動きが分かり、ご苦労や偉大さを知ることができたのです。

 

ありきたりな言葉ですが、人は一人では生きていけません。


弱ったときは尚更、たくさんの方の力をお借りしなければ生きられません。

 

弱者になってみて自分が多くの方に助けられていること、「当たり前」に感謝することを学びました。


「当たり前」って、健やかで幸せに満たされた日常だからこそ成り立つのですね。

 

その日常が崩れた時初めて、有り難みに気付くと同時に、これまでの自分の生き方を振り返ることができるのだと思います。

 

私の病気は「病気」と言えるほどのものでは無いかもしれません。

 

命に別状はありませんし、妊娠さえしていなければ日常生活を送りながら薬のみで治癒できるものです。

 

だからこそ言えるのかもしれませんが、尿管結石での入院を通して学んだこと・人とのつながりは私にとって財産です。

 

 

・このエピソードをお寄せいただいた方

性別:女性
年齢:20代
お住まい:兵庫県養父市

感謝を伝えたい方:医師の先生、看護師さん

 

エピソードをお寄せいただき、ありがとうございました!