私が、夫と離婚をしようと決めた頃の話です。
私の夫は借金、隠し子、浮気、人を脅したりと、色々な問題を抱えていました。
それが私にバレ出した頃、私が夫の行動や言動に異常を感じて、精神科に相談した時のことです。
精神科に受診に行く事はとっても恥ずかしかったのを覚えています。
多重人格であるかの様な夫の対応に困っていた私は、先生に話をしだした時に感極まって泣きながら相談してしまいました。
自分でも涙が出るのを止められなく、私の精神が病んでるんじゃないかと思ってしまうくらいに動揺しながら話をしていました。
先生は私の話をゆっくり、時間をかけて聞いてくれました。
あの頃の私には、ただ話を聞いてくれるだけでも良かったのかもしれません。
離婚を決めた矢先に、夫のわけのわからない症状や言動が発生したので、毎日どう対応していいかわからなかったのです。
そんな私の話を聞き終わった後に、先生は
「僕ももう何十年も医者をしていますが、多重人格という症状の患者さんにあったことはありません。多重人格が本当だとしても、その人である事には変わらないのですよ」
と言われました。
その言葉で私は、我に帰ったようでした。
夫が夫ではなく、違う人みたいに感じていたのです。
こんな話をしても誰もわかってもらえないと、ずっと一人で抱え込んでいた毎日でした。
当時の私は、離婚を考えていた時に、夫の体調が変化したので、そんな病気のような症状の夫を見捨てるように離婚はできないと思っていたのです。
病気のような症状になる前に、離婚を決めていたのです。
離婚原因は沢山あって、それに耐えられなくなっての決断だったのですが、夫の状態を見ると離婚できないと思っていました。
でも、先生に
「その人である事に変わりはない」
って言われて、
夫が何を言っても、可哀想だから離婚しない、というのは違うと思いました。
結局、夫の状態が少し安定した時に離婚をしました。
今でも、たまに連絡ありますが、あの多重人格のような症状があるのかないのか、わかりません。
夫は、自分の趣味であるバスケットボールを、小学生に教えて楽しく生活してるようです。
私は、仕事が順調で、子供たちも成人して、楽しく生活できています。
もし、あの時、あの医師の先生に話を聞いてもらえなかったら、私は、夫と別れられずにいました。
医師の先生は患者の身体も治せるし、少しの助言や言葉で、家族や周りの人の心も強くしてくれると思いました。
私が診察室から出た時に涙で目が腫れていたのを、ほかの患者さんにジロジロと見られて、恥ずかしかったのを覚えています。
あのとき見られて恥ずかしかったけど、相談に行って本当に良かったです。
今の私があるのは、あの時の医師の先生の助言のおかげだと思っています。
いろんなお医者さんがいます。
私が受診したのは精神科のお医者さんでしたが、他の科の先生に比べたら、相手の心を読み取る力が優れていたのかもしれませんし、対応もわかっていたのかもしれません。
精神科ってなかなか行くこともありません。
精神科を受診することを、恥ずかしく思う人も多いと思います。
恥ずかしい事は何にもないのです。
わけのわからない症状の夫を持つ私を、先生は助けてくれたのだから。
今はうつ病も多くなってきたと言われています。
もし、自分や周りの人にそんな人がいたら、その人が受診しなくても、周りの人が相談に行くのでもいいと思います。
私の様に、ちょっとしたことで変われるのですから。
もう20年くらい前の話になります、
10年ひと昔なので、ずっとずっと昔の話になります。
もし、あの時の先生に会えるのならば、しっかりお礼が言いたいです。
先生のおかげで自分でちゃんと決められましたと。
・このエピソードをお寄せいただいた方
性別:女性
年齢:40代
お住まい:群馬県桐生市
感謝を伝えたい方:精神科の医師の先生
エピソードをお寄せいただき、ありがとうございました。