・山中での滑落事故
私は仕事中に山での滑落事故によって右足首を骨折し、手術を受けることになりました。
手術は全身麻酔ではなくブロック麻酔で、意識もはっきりとした状態での手術でしたので、少々体制が窮屈な状況を我慢していなければなりませんでした。
4時間半もの間、開脚状態を続けた私は、足に付け根と腰の重さに苦しめられていました。
そんな中でも私が手術に耐えられたのは、救急外来で入院が決まった時に入った病棟で受け持ちの看護師だった方の励ましの言葉でした。
入院から手術までに2週間程時間があったのですが、その間に患部の痛みは相当激しく、痛み止め無しではいられない状況が数日続きました。
点滴と座薬、飲み薬を数時間おきに適宜使い分けて看病してくれた看護師さんたち、主治医への報告と指示を的確に行ってくれたのは受け持ち看護師さんでした。
ギブスによって押さえつけられていた部分の鬱血、かかと部分の通気性の悪さによるかぶれ、包帯に負けてできた湿疹など、事細かに処置してくれました。
手術の前日、受け持ち看護師さんは遅番でした。
夕方の4:00から深夜12:00までの勤務でしたので、当然手術の日は勤務していません。
手術後は病棟が変わるため、お会いするのはその日が最後でした。
消灯後、1時間おきに見回りに来るのですが、手術前日ということもあって緊張感もあったためか、中々寝つけませんでした。
深夜0:00を回っても寝付けなかったところに、受け持ち看護師さんが最後の見回りに来ました。
・看護師さんからの激励の言葉
看護師さんは、私が寝付けなかったことを気にしてくれていて、少しの間話をしてくれました。
「手術前の患者さんはどんな人でも少なからず動揺や緊張をしている、老若男女どんな人でも。その緊張と不安を支えるのが看護師の務めで、手術室にも付き添いの看護師が必ずいる。だから何か不安があったり痛かったり怖かったりしたら直ぐに看護師に伝えてください。私は影から応援する事ができない立場に変わってしまうけれども、手術室には手術中のサポートを専門とするプロの看護師がいますから、安心して休んでください。みんなで守りますから。」
と激励の言葉をかけてくれ、左手を両手で握りしめてくれました。
その勇気をもらって臨んだ手術でしたが、開始から2時間程経ったところで意識が遠のいていくのがわかりました。
ちょっとマズいなと思った時には看護師さんの手を握り返すのがやっとでした。
とっさに昨夜の受け持ち看護師さんの言葉を思い出し、握りしめてくれた手の感触を思い出したのです。
お陰で私は無事手術を成功しました。受け持ちの看護師さんからの激励がなければ、私は意識を失っていたかもしれません。本当に感謝しています。
・このエピソードをお寄せいただいた方
性別:男性
年齢:40代
お住まい:秋田県横手市
感謝を伝えたい方:看護師
エピソードをお寄せいただき、ありがとうございました!