・管理栄養士として、栄養指導を行っています。
私は管理栄養士として、入院している患者様や外来患者様に対する栄養指導等を行っています。
私の働く病院には終末期ケアを行うホスピス病棟が内接しており、毎週土曜日には患者様に対して食事のリクエストアンケートを実施しています。
入院している患者様は、どうしても似たような食事メニューを食べることになります。
病状によっては味気のないものばかり食べる患者様も少なくありません。
・食事がおいしいと元気になれる。
当院で行なっているホスピス病棟に対するリクエストアンケートは、患者様が食べたいものなら何でも作り、提供するというものです。
患者様はこのリクエスト食をとても楽しみにしてくれているそうで、中には日頃の食事は食べられずとも、このリクエスト食だけは味わって食べてくれる患者様もいるそうです。
実際、患者様に食事のアンケートを聞きに行った際、患者様はこう言っていました。
「食事がおいしいと元気になれる」この言葉を聞いた時、私は管理栄養士になって病院で働いていてよかったと思いました。
元気な人であろうとも、病気を患っている人であろうとも、食べることは誰にだって喜びを与えることができるのです。
これは普通に生活をしていたら、当たり前のように思えてしまうことです。病院で働いて、さまざまな病気を抱えた患者様へ食事を提供することにより気付けたことだと思います。
ホスピス病棟に入院している患者様は、終末期医療を受けている人たちです。
中には病気の苦しみや、死を意識して涙する患者様も少なくありません。
そういった患者様と関わるたびに胸が痛くなりますが、そんな人たちにだからこそ、最期の瞬間までおいしい料理を提供したいと我々管理栄養士一同は思って働いています。
・一番心に残っている出来事。
多くの患者様と関わる中、一番心に残っている出来事は、誕生日を控えた患者様へのリクエスト食の提供でした。
その患者様は状態が悪く、いつお亡くなりになられてもおかしくない方でした。
そんな患者様がリクエスト食に選んだのは、誕生日ケーキでした。
リクエスト食の提供日が、その患者様の誕生日だったのです。
そのリクエストを聞いて、私達管理栄養士は調理師の方にショートケーキを用意するよう頼みました。
誕生日当日、患者様はロウソクの立ったケーキを見て、ご家族様とともに喜んでくださりました。
普段はあまり食の進まない方でしたが、ケーキはちゃんと食べてくれました。
その三日後、その患者様はお亡くなりになられました。
患者様にとって最後の誕生日ケーキ。きっと、味わい深いものだったと思います。
生きるために食べるということを、私達は毎日行なっています。
しかしそれは当たり前にできる行為ではない。
日頃の経験を胸に、食事をすることが困難な方にもおいしい食事を提供できるよう、これからも管理栄養士として働き続けたいと思います。
・この体験談をお寄せいただいた方
性別:女性
年齢:20代
お住まい:大阪府大阪市
ご職業:管理栄養士
勤務している施設、診療科:総合病院の栄養課
体験談をお寄せいただき、ありがとうございました!