私は、理学療法士です。
以前、回復期リハビリテーション病棟で勤務していた時のことですが、一番やりがいを感じられたのは、患者さんが目に見えるようにリハビリを通して回復してくれたことです。
回復期病棟では、特に回復の見込みのある患者さんが多いため、やりがいを感じやすいと思います。
脳卒中や整形外科の手術後など、短期間でほとんどの患者さんを在宅復帰できるようにするための施設であるため、理学療法士をやっていて本当に良かったなぁと感じられることが多かったです。
しかし、中には重症で回復があまり望めない場合もあります。
以前担当した患者さんで、脳出血後の人がいましたが、かなり重度で、回復期病棟に転院してきた時は、
身体が縮こまっている状態で、
寝返りや起き上がりもできず、
失語によりコミュニケーションもとれず、
ベッドに寝たきりという状態でした。
担当の医師から家族への説明も、回復はかなり難しいのではないかということでした。
コミュニケーションが難しい状態で、リハビリに対する拒否も見られることあり、私もどのように理学療法をすすめようか、かなり悩みました。
ベテランの理学療法士の指導を受けながら、本当に基本的な練習を、繰り返し繰り返し行うことにしました。
車いすから立つことももちろん困難でしたが、平行棒を持ってなんとか介助で数秒でも立ってみる。
始めはそれだけで精一杯で、これを繰り返して実用的になるのか、自問自答した時もありました。
しかし、とにかく患者の力を信じて、ひたすら立って、座って、立って、座ってと繰り返し練習しました。
すると、日に日に患者さんの力が強くなってきました。
全介助でしか立てなかった患者さんが、数週間たちほとんど自分の力だけで立てるようになってきたのです。
立つことができるようになったら、今度は歩く練習をはじめてみました。
やはり始めは、ほとんど抱えるようにして平行棒内を歩く状態でしたが、これも同じ練習をひたすら繰り返し、最後には、軽く介助をするだけで、患者さん自身の力で歩けるようにまで回復しました。
これには担当の医師も驚きで、誰もがこんなに回復するとは思わなかったと、病棟内でも話題になりました。
とてもやりがいを感じた瞬間でした。
理学療法士を長くやっていると、こんな風にうまくいく場合もありますが、もちろん思うように患者さんの状態をより良くするのは難しい場合も多くあります。
特に現在は、通所リハビリで維持期にある人を対象としているため、なかなか難しいです。
それでも、患者さんがリハビリを通して毎日を少しでも元気に過ごしてくれる姿を見ると、この仕事をしていて良かったなと思えます。
・このエピソードをお寄せたいだたいた方
性別:女性
年齢:30代
お住まい:埼玉県加須市
職種:理学療法士
勤務施設:病院併設の通所リハビリテーション
理学療法士としての経験年数:8年
勤務施設の規模:約15 人
理学療法士のやりがいを感じられるエピソードをお寄せいただき、ありがとうございました!