私の勤務していた整形外科クリニックには、小さな子供から、高齢者まで幅広い年齢層の方が来院されていました。
私は主に、スポーツ復帰を目指す学生のリハビリを担当しており、院内でのリハビリはもちろん、試合帯同で外勤務をすることも多くありました。
私自身、学生時代に手術とリハビリを繰り返した経験があり、同じような境遇の学生の手助けがしたいと考え理学療法士になりました。
理学療法士になってから今まで、たくさんの学生に出会い、リハビリを担当してきました。
その中で、最も「理学療法士になってよかったな」と思えた瞬間は、リハビリを無事に終了し、学生を復帰させた試合を見たときでした。
シーズンオフ中の練習で負傷し、手術後退院した学生を担当したときのことです。
彼はインカレの出場を期待されていたチームの要となる人物でした。
初めて来院して話した時の彼は、シーズンに間に合うかとても不安そうな顔をしていました。
何度も私に、
「怪我する前に戻れますか」
と聞いてきたことを、今でも覚えています。
彼は、どんなにきついリハビリでも、必死についてきてくれました。
時には、辛くて泣き出すこともありましたが、途中で投げ出さずリハビリを休むこともありませんでした。
半年のリハビリ後、彼は少しずつ競技に復帰し、試合にむけて調整を初めて行きました。
私も、院外でのサポートに切り替え、少しでも怪我をする前のコンディション、もっといえば怪我をしないようなカラダづくりを目指し、サポートしました。
結果、彼は復帰後初の大会で優勝、インターハイにも出場し、その後怪我をすることなくシーズンを終えました。
彼は、私に
「先生のおかげで前よりも強くなった気がする」
と言ってくれました。
そんな彼は今でも実業団で競技を続ける選手となり、ときには日の丸を背負って海外にいくこともある立派なアスリートになりました。
今でも時々、私を頼りコンディショニングをしてほしいと連絡をくれます。
彼の活躍する姿をみると、私も微力ながら彼の力になれたのだと、とても誇りに思いますし、私自身の自信にも繋がりました。
理学療法士になって、行き詰まることも多々ありましたが、自分の担当した患者が活躍することほど、やりがいを感じることはありません。
これからも彼だけでなく、全てのスポーツ競技者に対して、怪我のケアだけでなくコンディショニング、メンタルケアを含めた全身のサポートができるように、私も日々精進しなければいけないなと思います。
・このエピソードをお寄せいただいた方
性別:女性
年齢:20代
お住まい:福岡県
ご職業:理学療法士
勤務施設:整形外科クリニック
理学療法士としてのエピソードをお寄せいただき、ありがとうございました!