私がまだ高校生の時でした。
大好きなおばあちゃんが、脳梗塞で倒れてしまったのです。
発見した時には、丸1日部屋の中で、1人倒れていた状態でした。
そして、たまたま会いに行った母が、倒れているおばあちゃんを見つけて、救急車を呼んだのでした。
命に別状はありませんでしたが、とても重い麻痺が残りました。
右手はまったく動かず、右足は少しだけ動かせる状態でした。
そして、1日倒れていたので、お尻には大きな褥瘡が出来ていました。
とても歩いてや、車椅子でトイレに行ける状態ではなかったので、オムツを履いていたのですが、尿が褥瘡に触れると菌が入ってしまい、炎症を起こしてはいけないので尿道に管を入れて、バルーン内に尿を出していました。
ですが、便をしたいという感覚は残っていたので、「トイレに行きたいのですが」と看護師さんを呼んでいたおばあちゃんでしたが、「介助量が多くて、私たちでは連れていけないから諦めてオムツの中で出してしまって。」と看護師さんには言われていました。
認知症等はなく、しっかりしていたおばあちゃんだったので、とてもそれがショックだったようで、便を我慢するようになっていました。
私たち家族が、
「オムツで出してしまっていいんだよ。看護師さんがすぐにオムツ変えてくれるから」
と言っても、
「わかるけど、意識があるのにオムツの中で便をしたくない。」
と言い、我慢してしまうのです。
終いには、便の我慢から腹痛を起こしていました。
そこで、おばあちゃんのリハビリの担当の作業療法士さんが来てくれたのです。
理由を話すと、
「なら、私とトイレへ行きましょうか!」
と言ってトイレへ連れて行ってくれたのです。
とてもおばあちゃんは喜んでいました。
何度もありがとうと言い、リハビリの時間は、おばあちゃんのトイレの時間となりました。
そして作業療法士さんが
「リハビリの目標を立てましょう」
と言いに来てくれたのです。
迷わずおばあちゃんは、
「1人でトイレへ行けるようになりたい。」
と答えました。
そして
「なら、これからはトイレへ行く事を目標としたリハビリを始めて行きましょう。」
と言って、トイレへ行く為のリハビリを開始しました。
リハビリ内容は様々で、
ベットから車椅子へ移る練習、
車椅子でトイレまで行く練習、
車椅子からトイレへ移る練習、
立ってズボンの上げ下げをする練習
などです。
全てがトイレを目標にした練習でした。
そして、練習を続けていくと2週間くらいで、看護師さんと一緒にトイレへ行けるようになっていました。
作業療法士さんが、看護師さんにトイレ介助の方法を伝達してくれたのです。
おばあちゃん本人も、私達家族も、本当に嬉しかったです。
こんなに親身になってくれる作業療法士さんがいて本当に助かりました。
そして、さらに2週間経った頃には、私達家族の介助でもトイレへ行けるようになっていました。
どんどん出来ることが増えていたおばあちゃんは、リハビリの意欲も増していて
「リハビリもっとしたいわ」
「今日は何時にリハビリ来てくれるんやろ」
とリハビリの時間を楽しみにするようになっていました。
そして最後には、1人でトイレへ行けるようになったのです。
おばあちゃんは泣いて喜んでいました。
本当に素敵な作業療法士さんに出会えてよかったです。
この時出会った作業療法士さんに影響されて、私は医療系の大学に入り、現在は作業療法士として病院で働いています。
おばあちゃんや、私達の人生に大きく影響を与えてくれた作業療法士さんには、本当に感謝しています。
私も、あの時お世話になった作業療法士さんのように、人の役に立って、感謝される作業療法士になりたいと思っています。
・このエピソードをお寄せいただいた方
性別:女性
年齢:20代
お住まい:大阪府大阪市東住吉区
感謝を伝えたい方:作業療法士
エピソードをお寄せいただき、ありがとうございました!