ここぴたる!

医療・介護職の「ありがとう」エピソード集

診療放射線技師は、患者さんと接する時間が少ない職業ですが、だからこそ、その短い時間を大切にしようと心掛けています。

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私は診療放射線技師として認知症専門病院に勤務しています。

 

いつも患者さんのそばにいる看護師さんや介護士さんとは違い、患者さんと接する時間が少ない職業ですが、少ないからこそ、その短い時間を大切にしようと心掛けています。


認知症の方の中には、言葉があまり通じず指示が入りにくい方が多くいます。

 

検査の際の「こうしてください」「そうしないようにしてください」という論理的な内容についてこれないのです。

 

患者さんにすれば、見慣れない場所に連れてこられ何をされるか分からず、不安で一杯のはずです。

 

そんな時はまず穏やかに目を合わせ、そっと手を包むように握ります。

 

その後、身振り手振りを交えて撮影ポジションへと誘導すると、ほとんどトラブルは起きませんし、こちらから微笑むと微笑み返してくれます。

 

言葉ではなく心が通じた気がしてうれしい気持ちになります。


認知症はお年寄りが多い事もあり、話の節々にお国訛りが混じる方がいます。

 

私の故郷の近くなら間違いはしませんが、どの地方か分からない場合は大雑把に北か西かであたりを付けて「生まれはどこ?」と出身地を聞いてみます。

 

するとほとんどの方が出身地の後に何か一言付いてきます。

 

家族の事、地域の事、仕事の事・・・。

話していると当時の情景が浮かぶようで、検査そっちのけで昔話に花が咲く事もしばしばです。

 

ひとしきりおしゃべりした後で検査に進むと、それまで検査を嫌がっていたり非協力的だった患者さんが驚くほど協力的になったりするのです。

 

検査終了後に手を振ってバイバイしてくれる、じーちゃん、ばーちゃんが、何となく愛おしく見えたりします。


認知症の方々にもご家族がいて、患者さんの認知症状に振り回され介助に疲れ、時に徘徊や帰り道が分からなくなり、警察のお世話になったりというのは珍しいケースではありません。

 

そんな認知症の患者さんが入院すると、それまで介助してきた方は負担や不安から解放され、どのご家族も表情が明るくなります。

 

心に余裕が出てきたご家族は患者さんへの対応も柔らかくなり、面会時にはそれまでに見られなかった家族同士の穏やかな団らんが見られるようになる事がほとんどです。


今の医療では認知症は治らず進行を緩めるとか症状を軽減する事しか出来ませんが、私たちの丁寧な仕事が患者さんに安らぎを与えるだけでなく認知症の方々のご家族やその周囲の多くの人々の笑顔につながっていると信じていますし、それこそが私たちのやりがいであり存在意義だと思っています。

 

・このエピソードをお寄せいただいた方

性別:男性

年齢:50代

お住まい:埼玉県

職種:診療放射線技師

勤務している施設:認知症専門病院

施設の規模:約100人

 

エピソードをお寄せいただき、ありがとうございました!